外国人の雇用がしたい

昨今の社会情勢の変化により、外国人留学生、外国人労働者数は増加の一途をたどっています。日本も国際化が進んでおり、企業が専門的・技術的分野に優秀な外国人を雇用することが増加してきています。

外国法人との取引や折衝に関して法的規制、外国特有の慣習等の問題に対処するために即戦力となる外国人の雇用、外国人教師や教育訓練スタッフとしての外国人の雇用、創造性と専門性のある優秀な技術者、エンジニア研究者の雇用、或いは、現地の優秀な外国人を将来の海外法人の幹部として登用するために日本企業の考え方や風土を学ばせ、育成させるために企業内転勤ビザを積極的に用いる企業も増えています。

日本は現行法上原則として移民を認めていないため、外国人の方が日本に長期間合法的に滞在するためには、「在留資格」を得る必要があります。
外国人を雇用するためには、外国人特有の発想、感性、価値観を尊重・理解し、また、雇用目的の明確化、生活習慣を知ること、文化の違い、短期滞在・長期滞在の別など相手の希望を考えることが重要です。

外国人を雇用する際の検討事項

【外国人雇用の検討事項】
・外国人を採用する目的
外国人従業員を雇用する場合、その目的を明確にすることが重要です。費用対効果の点から得られるメリット、デメリットを十分に検討しておく必要があります。

・外国人に依頼する仕事とポスト

・どの分野、どの職種で最終的に何人使用するか、当面何人雇い入れるのか、どの程度の期間雇用するのか

・どのような外国人を採用するか
専門分野とその知識、技能、技術の幅と水準、就労可能な職種
キャリア(学歴、業務経歴、その他)
主たる使用言語、英語・日本語の能力などのチェック
性別、性格、年齢、体力、健康
国籍、人種、宗教
外国の日系企業に就職した経験があるか、日本で勤務、留学、生活した経験があるか

・雇用契約の重要性
外国人社員を雇用する場合には、労働条件を巡り、トラブルが発生しないよう賃金、労働時間、休日等の主要な労働条件を明記した書面を交付し、理解してもらうことが重要です。
日本人の雇用と同様に外国人の雇用であっても労働条件の明示が義務づけられている以下の事項を書面にて交付する必要があります。
1労働契約の期間
2就業の場所、従事すべき業務
3始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
4賃金、計算及び支払方法、賃金の締切日、支払の時期、昇給に関する事項
5退職に関する事項


・募集方法、採用選考基準はどうするか</li>
外国人を募集する場合は以下の方法があります。
1大学からの紹介
国内外の大学や大学教授を通じての募集・採用を行っている会社が比較的多いように思います。最近は、国内の外国人留学生を多く抱える専門学校・大学・大学院では、彼らの日本での就職を強くサポートしている学校が多くあります。そのような教育機関の就職課に求人を出したり、日本での就職を希望している優秀な学生の情報を得ることで外国人雇用を行うのもいいでしょう。
2国際学会の活動を通じて研究者からの紹介
研究者を通じて募集・採用では、優秀な技術者の雇用ができるといった評判をよく聞きます。
3自社の現地法人や現地事務所からの紹介
現地法人の従業員を通じての外国人雇用を行っている会社も多いです。
4公的機関(ハローワークなど)からの紹介
一般のハローワークではなく東京外国人雇用サービスセンターや新宿外国人雇用支援・指導センター、名古屋日系人雇用サービスセンターのような外国人専門に人材紹介を行っている公的機関もあります。  
5新聞・雑誌・インターネットを通じて労働者を募集する。
日系新聞の他にも、The Japan TimesMetroplis等の英字新聞から募集を行うことができます。
6民間人材紹介会社からの紹介
外国人を中心に人材紹介を行っている会社は数多くあります。 それぞれの人材紹介会社ごとに、強みとする職種・業界があるので希望する内容に合う紹介会社を選択できます。
7SNS(ソーシャルネットワークサービス)での求人
Facebook、Twitter、LinkedINなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)の急激な成長に従い、こういったツールで求人を行う企業が増えています。
特に、語学が堪能な日本人や海外から日本での就職を希望する外国人などは、これらSNSでの求人を注意深くチェックしているようです。
語学力もある優秀な人材や専門知識を持つ外国人を雇用することを考えているのであれば、こういったツールを利用されるのも一つの方法かもしれません。

<外国人労働者の斡旋>
外国人労働者の斡旋を受けるためには、職業安定法の規定により、厚生労働大臣の許可(有料職業紹介事業の許可)を受けた業者から受け入れなければなりません。厚生労働大臣の許可を受けないブローカーから斡旋を受けないように注意しなければなりません。
また、有料職業紹介事業者は、次の職業に労働者を斡旋することはできません。
・港湾運送業務に就く職業
・建設業務に就く職業

・入管法上取得する在留資格の種類、入国審査手続き
在留資格、在留期限を必ず確かめて下さい
1入国要件を備えているか
有効な旅券(パスポート)を持っているか
入国査証(ビザ)を受けているか
2就労資格を有しているか
どの在留資格を得ているのか
就労が認められない在留資格の場合資格外活動許可を得ているか
3在留期間を超えていないか
在留資格ごとに定められている在留期間を超えていないか

また外国人雇用に特有のビザ手続きもあり、在留資格(ビザ)を取得又は変更する必要がある場合には、上記事項の労働契約の期間を定める時に、但し書で「この契約書は当社に就労可能な在留資格許可を条件とし、就労が認められない場合には無効とする」などの取り決めをしておいた方がよいでしょう。

・必要経費の見積もり
・希望する人数、能力の者を確保できる見通しは十分あるか
・雇用することにより得られる効果
・どのようなトラブルなどが発生する恐れがあるか、対応策と防止策

<生活習慣・文化の違いを知ること>
外国人の雇用において特に食生活と休祭日は重要です。食生活においては宗教上の理由や思想・信条の問題で特定の食べ物を全く食べなかったり、特定のものしか食べられない外国人の方がいます。
生活習慣の違いで社員食堂が利用できなかったり、会社の近くに利用できるレストランが無いことも多くあります。
また、業務時間への遅刻などが挙げられますが、日本は特に時間に厳格ですが、時間に大らかな国もあります。また、就業中にガムを噛んだり、お茶出しやゴミ捨てなどの契約に記載されていない業務を断ることもあります。このような点は、すぐに叱るのではなく、徐々に日本の習慣に馴染ませていくのがよいかと考えます。
さらに日本人・外国人を問わず、労働者を雇い入れる場合には労働災害を防止するための機械設備等の安全対策を施すとともに、適切な安全衛生教育の実施が重要となりこの点も注意が必要です。

<不法就労外国人を雇用していると雇用主も処罰されるのか>
不法就労外国人を雇用していた場合、雇用主にも罰則が適用される場合があります。入管法第73条の2には「不法就労助長罪」が定められており
1事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
2外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
3業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は2.の行為に関しあっせんした者を処罰の対象とし、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はその併科が定められています。

また、不法就労外国人とは知らずに雇用していた場合は処罰されることはありませんが、不法就労であるとはっきり認識していなくても、状況からみてその可能性があるにもかかわらず、確認をせずにあえて雇用するような場合には処罰されますので「在留資格」「在留期間」を確認することが必要です。

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